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アジア進出をお考えの方へ





先日BSジャパンを観ていたら「アジアの風」という番組がスタートしていました。これは日本の中小企業がアジア進出にあたり、どのように進出したらいいのかというのを手助けするという番組で、初回は私も知っている食品業界の会社にスポットを当てていました。

アジアの風HP:http://www.bs-j.co.jp/asianwind/

各分野の専門家が市場性や将来性などの項目で点数をつけていきます。

最近ユニクロなど日本の大手企業がフィリピンに進出してくるケースが目立って来ました。タイやインドネシアとは比べ物にならない規模だと思いますが、昔に比べたら少しは注目されてきたのかなと思います。今朝は読売TVの朝の番組で辛坊アナウンサーがタイのレポートをしていましたが、今タイは空前の日本食ブームでたくさんの日本のレストランが進出しているとレポートしていました。

私もタイや韓国、中国などに近年出掛けましたが、あらゆる面でフィリピンとの差を感じてしまいました。フィリピンに進出したり、起業したりする会社の中にはPEZAの認定を受け、ほとんどが輸出をするという場合もあると思いますが、フィリピン国内市場をターゲットにしている会社もあるはずです。フィリピンの市場は魅力があるのでしょうか?

2011年のシンガポールを除くアセアン各国の1人あたりGDPを比較すると、

タイ:4,564ドル
インドネシア:3,532ドル
マレーシア:8,716ドル
ベトナム:1,394ドル
フィリピン:2,008ドル

で域内では下から2番目です。

よく使われる経済指標で2011年の車の販売台数を見てみると、(乗用車、商用車合計)

タイ:794,081 (116%)
インドネシア:894,164 (280%)
マレーシア:599,329 (122%)
ベトナム:110,938 (271%)
フィリピン:141,616 (142%)

です。数字の隣にある%は2006年の販売台数との比較で、どれだけ伸びているかわかると思います。(補足ですが、2011年の販売台数はタイの洪水の影響でインドシアを除く各国は減少しています。)車の販売台数はある意味その国の購買力の指標になると思います。タイは人口6680万人で約80万台、フィリピンは人口9400万人で14万台。これだけの購買力の差があります。

いろいろな経済指標を見ていると、フィリピンが域内で著しく劣っているものがあります。それは輸出額の数字です。ご参考までに、

タイ:228,822
マレーシア:227,267
インドネシア:203,497
ベトナム:96,906
フィリピン:47,967
(通関ベース、FOB、100万米ドル、出典:日本総研 2012年4月レポート)

このような数字は各企業さんの担当者は調べているはずなので、いまさら書くような内容ではありませんが、数字だけ見るとアセアン各国の中では昔ライバルだったタイにはどんどん置いていかれて、最近のライバルインドネシアにも差を広げられ、ベトナムに激しく追いやられ、いずれ抜かれる運命にありそうです。以前から書いていますが、フィリピンは戦後アジアでは最も発達していた国でした。しかしどんどん落ちこぼれていく一方です。最近の日本のTVを観ていると、やはり中国がNo.1の注目度で、タイに続き、最近はインドネシアが注目されています。日産自動車もインドネシア展開に力を入れるそうです。数字を見るかぎり、フィリピンは残念ながら魅力的な市場ではありません。

なぜここまで落ちこぼれたのかといえば、やはり政府の政策がダメだったのでしょう。出稼ぎを奨励して外国で稼いだ金で国民を潤そうとするのには限界があると思います。

フィリピンの唯一といっていいほどの魅力は「英語」が使えることです。コミュニケーションというのはとても大事で、マネージメントがスタッフと直接話ができないというのはストレスが溜まりますが、フィリピンに関しては英語でコミュニケーションができます。これはとても大事な事だと思います。

正直、大手企業がフィリピンの購買力を期待しての進出は望み薄です。今後成長が期待されるインドネシア、ベトナム、ミャンマーなどへの進出が無難だと思います。しかし起業家や小企業に取ってはフィリピンという国は最初に海外進出をするのには面白い国だと思います。それはなぜか?ズバリ。注目されていないから進出企業もまだまだ少ないからです。

例えばラーメンを例に取ってみると、タイでは8番ラーメンをはじめ、日本のラーメン屋さんがかなり進出しています。パイ自体が大きいので、そこそこの売上が期待できますが、大手のラーメン屋さんには資本力で負けてしまいます。どうも分が悪です。しかしフィリピンをみたら日本から進出しているのはラーメン龍さんと味千ラーメンくらいです。うまくやればフィリピンの8番ラーメンになれる可能性があります。競争が激しくありません。(ラーメンの場合は競争が激しくても市場のパイが拡がった方が売れ行きがいいかもしれませんが・・・。)

フィリピンでダメだったとしても投資金額を最初は抑えれば、損害も少なくて済みます。やり直しは聞くと思います。ただGROを追っかけてビジネスを立ち上げるとか、奥さんに任せっきりのビジネスでうまく行ったというのはあまり聞きません。やめたほうがいいと思います。またどなたか知り合いがいたほうがうまくいく確率が高くなります。見ず知らずのフィリピン人に助けてもらうより、経験が豊富な日本人の方に相談されるのが一番です。(業者にも寄りますが)

今アジアに進出しないと将来立ち遅れてしまいます。進出を考えている方は参考にしてください。(私自身はお手伝いすることはしていませんし、ご相談にものれません。それを専門にしている会社もあるのでそちらにご相談されるのが一番です。)


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通りすがりの名無し

ご存知だとは思いますが..
今の日本のTVは便所の壁の落書き程度です。
TV局は理由があるからそういう番組を作ってるだけで事実がどうであろうが罠であろうが知ったことではありません。
朝鮮、中国に関するものがよい例です。
よって貴ブログでそれを一部でも扱うのはとても危険なことです。(関係者なら別ですが)
自業自得と言えどもそれを信じて人生棒に振ってしまった人も大勢いるのですから..


by 通りすがりの名無し (2012-04-10 15:32) 

Akira

通りすがりの名無しさん、私は最近のTVの裏事情は知りませんが、大手クライアントの悪口を書けないことは誰が見ても明らかです。メディアの報じていることのいい加減さは、自分の専門領域に限ればよくわかります。下調べがいい加減でひとつの事柄からしか結論を導き出そうとするやり方は視聴率ありきで内容も薄っぺらいものばかりです。

この番組に関していえば、私も知っている会社だっただけに決して的が外れてはいませんでした。タイの専門家の人の意見には異論がありましたが、総じて正しいものだったと思います。

今回の記事はメディアのいい加減さを強調してはいません。フィリピンのアジアにおける立ち位置と投資の正当性を書いてみました。普通に考えればフィリピンへの投資はないと思います。市場性以上に国内の治安、国民性なども相当マイナス要素です。これをチャンスと見るか否かというポイントを書きました。

by Akira (2012-04-10 16:25) 

マンタ

真実を伝えない意図的なテレビ報道は今も昔も変わりません。
これは、昔 お世話になった商社にいたころテレビの取材を受けての感想です。

辛坊氏もテレビカメラが回ってないところで語ってました。「テレビの報道を信用するな」とね

経済新聞と同じ手法で実績という数字を羅列して
>今アジアに進出しないと将来立ち遅れてしまいます。進出を考えてる方は参考にしてください。
と貴ブログで煽れば

テレビ報道を真に受けて 実態を知らない企業がアジアへの進出は 専門業者にまかせるしかないと アドバイスする 手法は、今も昔も変わりません。 

振り返って考えれば、フィリピンを含め裸一貫でコネなしカネなしから地道にその国で経済地盤を築き上げて中国共産党も一目おいてる情報のネットワークを築き上げた 「何でも有」の 華僑たちが語る公表できない話が一番エキサイティングで参考になりました。

クッキー店頭販売を今年の末には立ち上げたいならまずは 
自分で移動販売でも何でもいいから自分で売ってみてお客様の反応を見たり聞いたりして接客業の難しさを体験すべきです。何もいえないフィリピン従業員もキットそう思っているでしょう。

by マンタ (2012-04-11 13:27) 

Akira

マンタさん、TV局の情報有り難うございました。

私は煽っているつもりはありませんが、一応前職から数えて20年以上の経験を踏まえて、アジアへの進出は今後の日本の企業の最重要ポイントだと思います。それは実際に多くの会社が感じていることだと思います。マスコミがどうのこうのという問題ではないと個人的にはそう思います。
by Akira (2012-04-12 00:53) 

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