フィリピン従業員はエージェントから

フィリピンで起業をしたり仕事をしていると、どの日本人が（多分）ぶち当たる問題がフィリピン人従業員の扱い方だと思います。いろいろな人からいろいろな話を聞きますし、私自身も数多くの痛い目をあってきました。ここはフィリピンなのでフィリピンのやり方にあわせろという方が多いのですが、やる気がなくロクに働かないフィリピン人をフィリピン流に辞めさせたら辞めさせたで逆に日本人という事を逆手に取って問題を大きくするフィリピン人も多いのも事実です。ここフィリピンでの起業はフィリピン人従業員をどう扱うかが大きな問題になってきます。

今進めているスイートのお店はエージェント（派遣会社）を介して雇おうと思います。もちろん今の社員から1名が常駐しますが、製造に携わる人間は基本的にマニュアルに沿って作るだけなのでそんなにスキルは必要としません。私の従業員の弟さんが某超一流ホテルに勤めているのですが、やはりエージェント経由です。6ヶ月後には正社員にしなくてはいけない、なんていう決まりは超一流ホテルでもエージェントを介している限りありません。日本の派遣社員と同じです。3ヶ月ごともしくは6ヶ月の契約で、気に入れば自動更新します。このホテルでは正社員になるまで本当にイバラの道を進みます。

平均して2年から3年間は派遣社員です。この期間の間、マネージャーや正社員、先輩社員からイジメの連続だそうです。仮に皿を割ろうものなら自腹は当たり前。お皿の取り方、お客様への接し方が「一回でも」間違うと即クビです。「明日からもうこなくていいよ。君の代わりなら何人でもいる。」という台詞が毎日のように告げられます。チップは正社員と派遣社員では7:3の割合で分けられます。またチップを巡っていざこざが絶えないそうです。だから10人雇って1年後に残るのは1人か2人です。そのほとんどはクビになります。

2年から3年間も残っている派遣社員は精鋭中の精鋭です。正社員にしても何も問題はありません。正社員になったらバラ色の生活です。基本給が安くてもチップだけで生活できます。先月あのマニー・パッキャオが家族と一緒に食べに来たらしいのですが、彼がくれたチップの額はいくらか知っていますか？なーーんと、6,000ペソもくれたそうです。いつも20とか50ペソ、多くても100ペソしか置かない自分が恥ずかしくなりますが、一流ホテルのレストランに来るお金持ちのチップは最低500ペソ。多い人はやはり5000ペソくらい置くそうです。正社員はチップ収入だけで30,000ペソくらいもらえるそうです。

ちょっと話がずれましたが、以前このブログでなぜフィリピンは6ヶ月ごとに従業員を入れ替えるのかという記事を書きましたが、今になって理由がよくわかります。それが一番効率的だからです。正社員にしたあとの弊害を考えた場合、派遣を繰り返し使った方が問題が最小限で済みます。もちろん専門的な知識が必要な職種ではそうと限らない場合がありますが、いわゆる単純作業者などはエージェントを介して、多少高くてもすぐにクビを切れるシステムが一番安全です。エージェントを通さずに下手にクビにして訴えられたら問題を大きくするばかりです。

私が考えるフィリピン人従業員の大きな問題は「緊張感のなさ」です。ボスやマネージャーが見ていないところでは極端にリラックスします。「ばれなければ何でもOK」文化を最大限発揮します。私の事務所があるビルのレストランなんて本当にひどいものです。ボスがいなければレストラン内で昼寝、喫煙は当たり前。近所のレストランのスタッフ同士でおしゃべりするのは当たり前。ひどいときにはお金を払わずに平気で店の食べ物を食べているのを見るとびっくりします。

エージェントはエージェントでも基本的な仕事の仕方みたいなのを教えてくれるエージェントはないのでしょうか？「遅刻をしない」とか「責任感を持って働く」という基本中の基本を徹底的に叩き込んでくれるようなエージェントがあれば私は喜んでそこから人を調達します。フィリピン文化が染み込んでいるスタッフの考えを変えるのは本当に至難の業です。日本人がいくら頑張っても限界があります。信用がおけるフィリピン人の右腕がいて、その人が日本人オーナーにかわって取り仕切るというのが一番理想的なのですが、そういう人がいない場合、こういうエージェントがあれば本当に助かります。どなたかそんな会社を作ってくれませんか？私？我慢強くないので絶対に無理です。