稲盛和夫著「生き方」を読んでみた
雑誌Presidentの最新号は「ビジネス本総選挙」という特集を組んでいました。
https://www.president.co.jp/pre/new/
ちなみに1位〜10位を紹介すると、
1位:松下幸之助「道を開く」
2位:吉野源三郎「君たちはどう生きるか」
3位:稲盛和夫「生き方」
4位:坂の上の雲
5位:嫌われる勇気
6位:ビジョナリー・カンパニー
7位:一勝九敗
8位:7つの習慣
9位:キングダム
10位:海賊とよばれた男
私は上記のうち6冊を既に読んでいました。
昔からこの手の本は読み漁っていましたが、最近はいわゆるhow to本からは卒業しました。「◯◯をする技術」とか「〇〇する方法」という本を読む暇があったらもっとスキルを磨くような勉強をしたほうがいいと思います。
昔から私が一押しのビジネス書は上記の6位にも入っている「ビジョナリー・カンパニー」でした。今では合計4冊ほどが「ビジョナリー・カンパニー」シリーズで出ていますが、最初の2冊が特にオススメです。
最近たまたま読んだのが3位に入っている稲盛京セラ名誉会長の「生き方」です。
今更ながら感がありますが、とても感銘を受けました。「経営の神様」といえば昔から松下幸之助が有名でしたが、稲盛名誉会長は現代の経営の神様と言っても過言ではないと思います。いまさらここで経歴を説明する必要もありませんが、鹿児島から京都に来て、京セラを起業し、KDDIを立ち上げ、JALを再生させたまさに経営の神様のような人です。
この本に書いていることはごく単純なことです。全然難しいことは書いていません。例えば、
「嘘はつくな。正直に生きろ。」
「人を妬むな、羨むな、憎むな。」
「一日をど真剣に生きろ。」
「仕事を好きになれ。」
「利他に徹せよ。」
「足るを知る生き方」
などです。読んでいると小学校の時に「道徳」で学んだような言葉がたくさん出てきます。この本では日本人が失ってしまった「美しい心」について嘆いています。外国で仕事をしている立場としては、最近の日本の「寛容ではない社会」に息苦しさを感じてしまいます。(その一方で対局にあるフィリピンの寛容すぎる社会にも呆れていますが・・。)そんな現代の日本人に対して語られた本でもあります。
私が最も印象に残った部分は、「人生の方程式」と呼ばれるもので、人生・仕事の結果は、
考え方 X 熱意 X 能力
で表される、という点です。これらが掛け算として表しているところにポイントがあります。能力とは生まれ持った才能であり、熱意は読んで字のごとくやる気、パッションという類です。私は「熱意」こそビジネスで成功する上でのキーポイントだと思っていましたが「考え方」がネガティブだと、すばらしい才能があっても、ほとばしるような熱意があっても、それがすべてがネガティブに増幅されてしまいます。だから普段から何事もポジティブに考えることがとても重要です。
他の有名なビジネス本が書いているように、この本でも「思いは実現する」と説いています。私も小さいながらも会社を経営している経験上、この点の言わんとしている部分が何となくわかる気がしてきました。サラリーマンとして会社に勤めていてもこの部分は共通しています。単に思うだけじゃダメです。寝ても覚めてもずーーと強烈に思い、それが隅々までイメージしなくてはいけない、とこの本は書いています。一方で細心の計画と準備なくしては成功はありえないとも言っています。ど真剣に思い続けると、自分が意識しないうちに行動が変わり、考えも変わっていきます。ど真剣に思わないと何も実現しません。
この点について、稲盛名誉会長は松下幸之助のダム式経営のセミナーに参加したときのエピソードを書いています。ダム式経営についてのセミナーというので、参加者はどうやったら「ダム式経営」ができる会社になれるのかを知りたくて参加しているのに、講演中に松下氏は一切そこには触れなかったそうです。不満を募らせた参加者から「どうやったらダム式経営ができるのか、その方法を教えてほしい。」と迫ったところ、松下氏は「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムを作ろうと思わんとあきまへんなあ。」とつぶやいたところ、会場に失笑が広がり、ほとんどの人が失望したそうです。しかし稲盛名誉会長は体中に電流が走るような衝撃を受けたそうです。そうなんです。何事も「思わない」と何も始まりません。
くどくどと書きましたが、この本はビジネス書というよりも何かに迷ったりつまずいたりした時に読んだらいいと思います。特に若い人にオススメです。変な先入観や偏見を持たずに素直な気持ちで読んだら、なにかのヒントが見つかると思います。私も読み終えて何度も読み返し、他の稲森名誉会長の本も買ってきて読んでいます。3位にランクされるだけの内容だと思います。きっと役に立つ本です。
皆さんもぜひ。
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