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身の丈に合ったやりかた





先日からカフェの2号店の話を書いてきました。そんな中、フィリピンの大手ディベロッパーからある知人経由でMakatiの中心地で人通りも多いという立地的には非常に魅力的な場所のオファーを正式にいただきましたが、熟考に熟考を重ねた結果、最終的にお断りしました。(この話は終わった話ですので記事にします。)

1号店でも思い知らされましたが、一等地の場所などなかなか入れるものではありません。超有名店でネームバリューもあるなら別ですが、フィリピンで一等地のモールに入れるのは大雑把に言って2種類の方法があります。一つは既に別の場所や、もしくは小さなモールで実績があり、集客が期待できる場合はモールの方からオファーが来ます。(うちのカフェも某S◯からオファーが来ましたが、お断りしました。)

もう一つはずばり「コネ」です。大手モールと別のビジネスでつながりがあるとか、トップ同士知り合いだとかそういうコネクションルートです。今回のマカティの案件は後者の方で、契約を交わすモールとの間に3人ほど入っていましたが(紹介の紹介の紹介)、そのうちの1人がそのモールと強力なコネを持っていたので実現したようなものです。我々みたいな零細規模の店が入れないのに、日本からの飲食店がいきなり大きなモールに入れる理由は、フィリピン側のパートナーがそれらのモールとコネクションを持っているというのが私の見方です。(まい泉やサンマルクカフェはBenchが経営していますし、一風堂などもYABUなどを経営している人はこちらでは有名なビジネスマンです。)

断った理由はいろいろありますが、大きな理由としては「身の丈に合わない」ことでしょうか?上述の強力なコネを持ったフィリピン人がよくいる「勘違い」フィリピン人で、とても横柄な態度で上から目線です。せっかくのオファーを持ってきてくれたので、この点においては我慢の許容範囲でしたが、「身の丈」を考えたら踏ん切りがつきませんでした。

家賃などの条件面は場所を考えたら「破格」といっていいほどでした。(ここでは明かしませんが)しかし一番の問題点はスペースが広すぎるということです。カフェというのはやってみてしみじみわかりましたが、儲けが少ない飲食業です。単価が低く、回転率がわるいのが大きな問題です。いくらクオリティの高いものを持っていても、コーヒーを1000ペソでは提供できません。うちのカフェでは東京から仕入れているブレンドコーヒーですが、140ペソというギリギリの価格で提供しています。しかしその140ペソで2、3時間平気で店に滞在する客がたくさんいます。

フィリピンと日本のカフェでいろいろと比較観察しましたが、フィリピンのカフェの方が回転率は悪いと思います。理由はカフェを仕事場として利用している人の割合が多いからです。WiFiも通じるし、エアコンも効いているとなると利用しない手はありません。うちのカフェの最高記録は1杯のコーヒーで12時間粘られました。(開店から閉店まで)お客様なので文句を言ってはいけませんが、正直12時間は常識を超えていると思います。平日の平均滞在時間はビジネス用途で3〜4時間。単純なカフェ利用でも2時間など普通です。混んでいても席を譲るというフィリピン人は正直あまり多くありません。フィリピンにおけるカフェビジネスの最大の問題点はこの「回転率」です。

だからスタバのようにテイクアウト率を増やしていくしか売上アップは望めません。よって場所の選定は非常に重要になってきます。今の場所はといえば正直微妙です。スーパーマーケットに来店する客層がC、Dクラスが多いのでウォークインのお客様がほとんどいません。多くのお客様がインターネットのFacebookやInstagramを見て来店する方で、ケソン市やマニラ市などの遠方からわざわざ来ていただいているかたがほとんどです。

その点でいえば今回いただいたオファーの場所はMakatiの1等地なので申し分なかったのですが、カフェとしてスペースが広すぎました。軽食などを多少なりとも持っていれば、「抹茶カフェ」としての知名度とあわせて、今回の広さでも十分収益が望めたかもしれませんが、スタバのような知名度も資金力もない私にとっては身の丈にはあっていませんでした。その中でも「最低売上」条件が契約の中にあり、どこかの回転率の高いラーメン店をベースにしているような金額で、どうひっくり返っても売り上げる自信がありませんでした。それが追い打ちを掛けました。

借金をしてまで店を開くガッツもなく、無理をする必要もないので、非常に残念でしたがお断りをしました。身の丈のあわないことをして後で苦しむよりは今は我慢して、いいオファーを待つ時だと思いました。もう一つ断った理由をいえば、うちにオファーが来る前にどこかにオファーを出していたようです。契約書を上書きし、消し忘れて最初にオファーを出した店から断れた形跡があったからです。つまり我々はその店の予備扱いだった可能性が高かったのです。(そんなことはどうでもいいですが)ポイントは最初の店が断った理由が何かある、ということです。

フランチャイズを展開したらどうかということもよく話が来ますが、これも身の丈にあっていないので興味がありません。フランチャイズ料をもらって店を展開するほどのブランド力も商品力も経験もありませんし、フランチャイズをする人が儲からなかったら元の子もありません。われわれだけが儲かっても意味がありません。自分だけいい暮らしをしていても後味が悪いだけです。

縁がなかったと今回は諦めました。1号店でそれなりの学習をしたつもりなのでそれを活かそうと思います。スタバと張り合っても所詮勝てません。特色を出して、まず多くのフィリピン人に知ってもらうことが先決です。2年や3年で結果など出ません。今後は日本人の方にも積極的に宣伝をしていこうと思っています。

「身の丈に合った」やり方でじっくり構えていこうと思います。


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